2022/10/22 05:28

ずいぶん壮大なタイトルになってますが

マラケシュのメディナの中で
初めての自分用のラグを探し歩いていました。

今回のモロッコ渡航前から
いや、実は昨年末に引っ越しをしてから
少しずつモロッコアイテムで部屋を作っていきたいな
そう思っていたのに
今年既に2回モロッコに行ってても
全然自分のものが買えてないという現実。

今回3度目、今年最後。
そして冬を迎えるんだから
やっぱりこの殺風景な部屋にまず必要なのは
ラグでしょ!
そう決め込んでモロッコに渡航しました。

このブログを見てくださっている方なら
既にこの約2週間の間に紆余曲折あったのはご存知かと思いますが
なんとか今日、予定の買付が全て終わり
発送も終わって、やっと一安心できたところです。

という訳で!
やっと自分のための時間!!

これまで買付の合間に目に入って来たラグは写真に撮って
お店の人にラグの話を聞いてはいたものの
あまり時間がなくて
足早にお店を後にしていました。

今日は午後からカーペットスークをはじめ
気になるお店に足を運んで
とにかく気になるラグを見て来ました!

と言ってもたったの数時間なので
全てのラグ屋さんは見れてないですけどね😅

まずは気になったラグ達をちょっとご紹介していこうと思います!
一番最初に気になったこのラグは
「Glawi(グロウィ)」
これは新しいもの(商品として作られたもの)

スリーテクニックと呼ばれる技法で織られているラグで
オートアトラスのタズナックという村で作られているそうです。

割とグロウィの柄の感じが好きだな〜と
他にも目に入ってきたグロウィが色々あります。


これもニューですね。
そしてこちらはヴィンテージこれ結構気になってたんだよね〜
赤とかオレンジとか、温かみのある色のラグがとにかく今は欲しい。

これもグロウィ

これらは今日ではなくて、
ラグ探しを始めかけた数日前に出逢ったもの。

面白いもので、ラグに集中し始めたら
どんどん色んなラグに出逢うんですよね。

次に出逢ったのが
「Boujaad(ブジャードゥ)」
色遣いが特徴的でピンク、赤、パープルなどを使われていることが多いみたい。
ウールで色遣いさながら、温かみ感じるのがブジャーかも?
これも可愛かったけど、
柄の隅々まで見ると「これでは無い」という私の中の何かが判断したラグ。

これはヴィンテージ。
色味は好きなんだけど、やっぱ柄が私の中では決定打にならず。
ヴィンテージとかになると30年以上前のもので
ウールが潰れてるものが多数。
だけど、なんかそこもまた良いのよね。

洗えば何とかなる気もする。


これも確か昨日見たブジャー。あれ、もしかしたらアジラルだったかな?
結構好きなんだけどサイズが小さい…残念。

「Azilal(アジラル)」っていうのもあって、それもブジャーと似てるんだけど
アジラルの特徴はカラフルな色使いで
ブジャーには無い色もたくさん使われてるそう。
だから中にはブジャーみたいな色使いのアジラルもあるんだけど
私はまだまだそこの見分けがつきません💦

そして今日!
午後からラグだけを探しにスークへ入って
一番最初に気になったラグが
これまたお初のラグでした。
「タズナック」
そもそもタズナックという村の名前で、デザインが渋い!
そしてどこのお店のタズナックもヴィンテージからアンティークばかり。
私が見た中ではニューのタズナックはなかったな〜

このタズナックとの出会いから
本当に不思議なもので、その後はタズナックばかりと出逢うことに。 
このタズナックが正直買っても良いかも、と心を動かされた最初の1枚。
赤が素敵、デザインも嫌いじゃない!


そして次に出されたこの1枚がいよいよ私の心を動かしました!

タズナックのアンティーク。100年以上前のラグだそうです。
ちなみにサイズもかなり大きめ。

部屋に使うイメージが欲しかったので
そこにあった木のテーブルを置いてみたり(てかこのテーブルもまた可愛い)
いや、めっちゃいいでしょこれ…好き。

ちょっとラグに乗ってみたり。

ウールがいい感じに潰れてて、気持ち良かったです。好き。

もう好きが止まらなくなったので、いよいよ価格交渉スタート。

おじさんがペンあるか?
って聞いてくるから渡したら
おもむろに紙に数字を書き出したので見てみると

いやもうそれはそれは。
すんばらしいお値段でした。

そもそも私の予算の10倍くらいの値段で
「え、なんかこれ桁間違えてない?」と聞いても
これが正解だと。
ゼロが1個少なかったら私の予算内だったのに
そうでは無いそうで。。
(○十万円という、これまで私が買付した事のない金額にびっくり)

そもそもの予算を伝え、これはもう無理、買えない。
価格交渉する以前の問題だから諦めるわ。

というと、
「いくらならいいんだ?」
と、出ましたアラブ商法。

いや、だから、私の予算はこれだよ。これがマックスだよ。
そもそもその値段に近づくことさえ出来ないんだよ。
だから買わない。
いや、買えない。

モロッコ人は、こう言っても全然引かないんだよね。
だからもう本当にイライラする。
馬鹿なのかな?って思うほど、勝負かけてくるし
こっちがブチギレないと諦めないので
本当に疲れる。

ということで本当に何度もしつこいので
「だからこれしか無いって言ってんでしょ!無理なの、買わない!」
と木のテーブルをバンバン叩いてブチギレると
じゃあこれは?
と先の赤いタズナックに振り戻る。

赤のタズナックも私の予算の4倍以上。
いや、だからさ、私の予算はこれだって。無理だって。
何度言わせるのよ…疲れたよ…

だし、そもそも私はあのデカいタズナックが良いから
今更この赤のタズナックには変えられない。
気持ちが変わらない。

そういうと、
「OK」
と言って、赤のタズナックをいきなり私の予算に当て込んで来た。

え?
いやいやいや….
なにそれ?

なんでそんな急下降なディスカウントするの?
逆に信頼できないよ!
予算の4倍だった値段を
もうそんな私の「無理無理買えない」で
4分の1にしちゃうわけ?

なんか逆に要らないわ〜冷める〜

てかそもそもオレンジのデカいヤツがいいし
さっきも言ったけど、今更予算内に収まったって
もう赤いタズナックに私の思いは無いんだよ。

このおじさん、最初は感じが良かったのに
交渉でかなりプッシュが強くてもう疲れちゃって。

疲れたわ、じゃあね

と店を出ました。

ラグ屋ってどこもめっちゃ在庫があるから
ゆっくり見たいのに
モロッコ人の逞しい商魂が本当煩わしい。
やり取りがほんとめんどくさい。

疲れた顔で隣の店のラグを眺めてると
ちょっとダンディーなおじさまがやって来た。

既に疲れてるアピールをしまくってたら
このおじさん、多分とても賢いのでしょうね
私のテンションに上手く寄り添って話をしてくれるんですよ。

そしてまんまとまたわんこラグのスタートです。
※ラグ屋に入って1つ気になったのがあるとおじさんは勝手に色々と見せてくれるんで
わんこそばならぬわんこラグ状態になります。大体どこでも。

おじさんは私がどんなのが欲しいのか聞いてくれて
赤とかオレンジベースのやつが良いというと
ブジャーを中心にわんこラグを展開しはじめました。
(ちなみに、みんな靴を履いたままラグを踏むので、日本人相手にするなら靴を脱げ!と指導して来ました。)

まぁ、なかなか可愛いのを出してくるんですよね、このおじさん。

ひとまず部屋に敷くイメージ写真を撮影。


うん、可愛いね。普通に悪くないね。

あ、このブジャー結構好きだな。夏なら使いたいんだけど
こたつ置くと思うとちょっと小さいのよ〜

これはスクエアのブジャーで、形もうちのリビングにはちょうど良いのよね
スクエアもっといっぱいあったらいいのに大体どこもレクタングル。

うわ、渋いの出してきたね〜

だいぶウールの潰れたアンティークのブジャー。
だけど、なんだか、、
ちょっと落ち着いてて良いな..

あれ、私これ…好きかも。
なんだかだんだん好きになって来たかも…!?

わんこラグは、まだまだ続きそうなので
「バラカ、バラカ」(もう十分)
ととりあえずストップかけて中止。

ひとまず、ちょっと疲れたと伝えると
ミントティ淹れてくれて
おじさんと飲みながら、
私がなぜここに来たのか〜とか
世間話的な話と
今回の予算の話をして
少し落ち着いたところで

「で、これいくら?」

と聞くと

「アンティークは値段があって無いような物でさ」
と。

いや、そうですよね。そりゃそうだ。
だって裏を返せば誰かのお古だし。

だけど、この100年以上前のものが
今でも存在していて、使えるということ
このデザインが今でも良いと思ってくれる人がいること
このテイストは100年の時を経た経年劣化の賜物だということ
この作り手はもういない、完全な1点ものだということ
それが全てこのラグの価値になってくんだよ。

いや、本当そうですよね。
アンティーク、舐めてましたわ。
おっしゃる通りです。

このおじさん、良いことをたくさん教えてくれました。

私は、もうすでに自分の予算ではこのラグは買えないんだと判断し

「OK、分かったよ。諦めるね、いっぱい見せてくれたのにごめんね🙏
このラグが高いのは良く分かったし、だからこそ私も値引き交渉しないわ。
まぁ欲しいけど..私の予算はこれだけだから、この予算に見合ったもの探すよ
はぁ〜ラグってほんと大変だよね、売るのも買うのもね〜
本気になったらかなり精神疲弊するね〜…」

なんてミントティー飲みながら私は独り言みたいに言って
おじさんは横で笑いながらラグを畳み始めて

「ok, you take this」

は?
だから、私の予算はいくらって言ってんじゃん!
も〜やめてよ〜欲しくったって買えないんだから〜

「yes, OK no problem you take」

え..?
私の予算って、そのラグの値段よりも数千ディルハムも安いんだよ

「Yes I Know」

おじさんは、私が言った私のことを全部理解してくれていて
毎年来てるのに、自分のラグを買えず
やっと今回探し回ってここに来たということを
嬉しく思ってくれたみたいで
なのに私の希望するラグが全然手が出ない金額で
落胆している私を不憫に思ってくれている様子でした。

まぁ。。。
あとは今後のビジネスを期待しているのもありそうでしたが😂

それでも、私的には私の予算で気に入ったラグを
素晴らしいご縁で遂に手に入れることができました!

私のファーストラグは
ブジャーのアンティークに決定!
今年1番の自分自身の高い買い物となりましたが
大満足です✨


最初に欲しいと思っていたラグとは全然様子の違うものをゲット。
ラグ探し、すごいな〜もっと周ったらもっと良い出会いがあるんだろうな…

ラグのことを色々見て聞いて探し回っていると
本当にたくさんの種類がモロッコにあることが良くわかりました。

日本で人気・有名なベニワレンや、ボシャルウィット、ハンディラなど以外にも
素晴らしいラグはたくさんあります。
今回ヴィンテージやアンティークに触れることも出来て
ラグにますます興味が湧いて来ました。
機会があればいつか生産地に行ってみたりしたいな〜

そんな新たな夢もできた気がします。

そしていつかこういった素敵ラグも取り扱えるようになったら良いな!